平成27年9月1日(火)~12月6日(日)
はじめに
福岡市博物館の体験学習室は、当館が展示の大きなテーマのひとつとして掲げる、日本と周辺諸国との交流のありようを、文化的側面から見て、聞いて、触れて体感できる場として、多くの方々に親しまれてきました。
現在「みたいけんラボ」(体験学習室の愛称です)に並ぶ資料の多くは、学芸員がアジア各国に出向き、現地で集めてきたものです。また、市民の皆さんからいただいたものも少なくありません。しかしそれらの中には、とても壊れやすかったり、危険であったりと、子供から大人まで多くの人に触れていただく場である「みたいけんラボ」には出しにくいものも含まれています。
そこで、普段は展示しづらいものを含め、これまで体験学習室が収集してきた資料をご覧いただく機会を設けようということになりました。
この企画を手伝ってくれたのは、当館で行われた学芸員資格取得のための博物館実習に参加した大学生の皆さんです。彼らと一緒に作り上げた「あじあモノ」の世界をお楽しみください。
インド・ミティラー地方の神像
マルカンダー像 |
マルカンダーは、子供を出産する部屋にまつられる神です。生後6日目に行われる「チャティヤール」という儀礼のときに、子供の将来を予言するといわれています。
ラクシュミーは、作物の豊穣をもたらす女神として古くから信仰されてきました。日本では吉祥天(きっしょうてん)という名で知られています。四本の手にはそれぞれ、聖火・供物・穀物・水壺を持っています。
シャクティは、天界・死界・地上界のすべてを創造したとされる女神です。八方に伸びる手には、それぞれ太陽・月・ブラフマー神・ヴィシュヌ神・シヴァ神・大地・水・人間がのっています。
ククール・ケラパ |
広大なアジアの食文化は、土地ごとの地形や気候といった地理的環境、あるいは民族や国家の歴史や宗教などに深く関連していて、たいへん多様性に富んでいます。広く世界に知られる日本料理、中国料理、インド料理、トルコ料理など、地域を代表する料理文化はもちろんのこと、言葉でいえば方言のような地域性の強い食材や調理法にもさまざまなものがあります。ここでは、その中から幾つかの特色ある食の道具を集めてみることにしました。
中元節の冥器(カラオケセット) |
人の一生のうちには、さまざまな区切りの時があります。中でも誕生や成長、結婚や死といった大きな節目に際しては、地域ごとに特色ある多様な儀礼が行われてきました。ここではそのうち、とくに死者に対する儀礼に焦点をあてて見ていきたいと思います。人の死に関わるからといって、必ずしもそれがしめやかなものとは限りません。日本とは違った死との向き合い方を覧いただきたいと思います。
《注》
(1)平成27年度博物館実習一班(井手優希・坂本夏菜・吉武大佑)の企画案をもとにしています。
(2)同二班(大里優花・南野謙太・宮崎慧)の企画案をもとにしています。