平成27年9月1日(火)~12月6日(日)
ガルーダの仮面 |
動物と人とは、古くから互いに影響を与え合い今日に至っています。しかし現在の日本では、その関わりが薄く、見え難いものになっているように感じられます。けれども、少し視点を変えて他のアジア諸国に目を向けると、今もなお、動物と人との関係は深く息づいていることがわかります。また、アジアには多様な信仰が存在し、その中でも崇拝する対象が動物の姿をしていることも珍しくありません。ここでは動物にまつわるさまざまな造形をご紹介したいと思います。
ドクラ |
ドクラは、インド東部の金属工芸品です。ドクラと呼ばれる職人集団が作ることから、その作品もまたドクラと呼ばれます。これは粘土の原型に針金状の蜜蝋(みつろう)を巻きつけ、その上をさらに粘土で覆って焼き、蝋が溶けて空いた隙間に溶かした金属を流し込むロストワックス鋳造とよばれる方法で作られます。ですから全ての型は一度きりで破壊され、同じものを作ることはできません。
スザニ |
スザニは中央アジアの国々で作られている大型の刺繍布です。壁掛けとして、あるいは覆い布として、さまざまな用途に用いられます。本来スザニは、女性が嫁ぐ時に持参した財産、いわゆる嫁入り道具でした。一人の結婚に際して、数十枚に及ぶ多くのスザニを、親戚の女性たちが分担して作り上げたといいます。しかし近年では、そうした丁寧な手刺しのスザニを持参することはめっきり減り、大量生産の品が多く出回るようになってきました。
イフガオの籠 |
イフガオは、フィリピン・ルソン島に住む山岳少数民族です。世界遺産「コルティリエラ山脈の棚田(たなだ)群」として知られるバナウエ周辺の壮大な棚田の景観は、イフガオの人々が長い年月をかけて作りあげてきたものです。イフガオはまた、竹や籐(とう)を使った美しい籠細工の作り手としても知られています。かつてこれは、自分たちで使ったり、近隣の村々といった狭い範囲で流通するだけのものでしたが、近年ではひとつの産業として商品化も進み、工芸品として世に知られるようになっています。
(松村利規)
《注》
(3)同三班(佐伯美樹・古賀豊一郎・武藤健)の企画案をもとにしています。
《おもな展示資料》
- ◇マルカンダー像
- ◇ラクシュミー像
- ◇シャクティ像
- ◇ミティラー地方の紙粘土人形
- ◇カオ・ニャオ用の蒸し器
- ◇ティップ・カオ
- ◇プロフ用の焜炉と鍋
- ◇シャシリク用の焜炉
- ◇ククール・クラパ
- ◇遺体用の掛け布
- ◇死者の寿靴
- ◇葬列の旗
- ◇ゴンダン用の太鼓
- ◇中元節の冥器
- ◇孫次凧(河童)
- ◇木うそ・きじ馬・鯛車
- ◇ゾイ・ヌオック(水牛に乗る少年)
- ◇タルーの神馬
- ◇マチャの像
- ◇チャムの龍面と鹿面
- ◇ガネーシャの仮面
- ◇バロンの仮面
- ◇ガルーダの仮面
- ◇クダ・クパン
- ◇ドクラ
- ◇スザニ
- ◇イフガオの籠