平成28年8月9日(火)~平成28年10月10日(月・祝)
この「ごちそう日本美術」は、福岡市博物館が所蔵する文化財に見られる、さまざまな「食」の表現を紹介する展示です。まずは、この展示の案内役をご紹介しましょう。
●豆腐小僧図(とうふこぞうず) 重光 紙本着色 江戸時代
ようこそ、福岡市博物館へ。ぼくは妖怪・豆腐小僧。暑い季節も、寒い季節も、一年中美味しいお豆腐の妖怪だよ。妖怪といっても、悪さをしたりはしない。町のあちこちにお豆腐やお酒を届けにいくのは、ぼくのお仕事なんだ。頭に被った大きな笠がトレードマークだよ。これから、ぼくといっしょに、いろんなごちそうを探しに行こう。
●大江山福寿酒盛(おおえやまふくじゅのさかもり) 歌川国芳(うたがわくによし) 大判錦絵 嘉永6年(1853)
大皿に盛ったごちそうがいくつもある!お酒の銚子(ちょうし)もあるよ。ここは、丹波国大江山(たんばのくにおおえやま)にある鬼の親玉が棲む御殿。大きな杯(さかずき)を手に、顔を赤くしているのが鬼の親玉・酒呑童子(しゅてんどうじ)だ。酒呑童子とその一味は、京の都にまで出没し、財宝を奪い、人をさらっていくので、人々にとても恐れられていた。時の帝(みかど)の命をうけ、酒呑童子を討つことになったのが源頼光(みなもとのよりみつ)さま。頼光さまは、四天王と称される四人の優れた武将をおともに、山伏(やまぶし)の姿に変装し、大江山に入っていった。そこで、出会ったお爺さんから、鬼の力を失わせる不思議なお酒を授けられ、酒呑童子の御殿にたどりつき、まんまと酒盛りに持ち込んだ。いまや、宴のまっさかり。真ん中では、四天王の一人、渡辺綱(わたなべのつな)と鬼は踊りを競って、場を盛り上げている。鬼たちは、すっかり打ち解けて楽しそうだけど、山伏に扮(ふん)した武将たちは、きりっとした表情。それもそのはず、酒呑童子が酔っ払って寝入ったところを討ち取ろうという計画なんだよ。
大江山福寿酒盛