平成29年4月11日(火)~6月11日(日)
4 看板
看板「延齢五徳圓 調中蘓命丹」
店や商品などの広告標識である看板にはさまざまな種類があり、また工夫を凝らした意匠も多く、見るものを惹きつけてやみません。近年では蒐集の対象としてレトロな琺瑯(ほうろう)看板などに人気が集まっています。
当館に収蔵されている看板類の中核をなすのが、旧三潴町(みづままち)(現・久留米市)の郷土史家・鶴久二郎(つるくじろう)氏(1902生)が蒐集した80点をこえる木製看板です。
同氏が蒐集の道に目覚めたのは19歳の頃。骨董店の前に山積みされていた古い和本類を買い求めたのがきっかけだったといいます。以来、久留米藩を中心に、さまざまな史料を精力的に蒐集し続けた成果は、何冊もの史料集として刊行され、広く利用されています。
その蒐集対象は文書のみならず、過去の生活を伝えるさまざまな道具類に及んでいます。看板のような比較的大型の品を個人で集めるには、相応の保管環境と熱意が必要ですが、このコレクションからは、困難をものともせず蒐集に邁進する姿が見えてくるかのようです。
5 双六
飛行機旅行雙六
さいころを振って盤上のますを進み、上がりにたどり着く順番を競う双六(すごろく)(絵双六)は、日本人にとってなじみの深いゲームといえるでしょう。
その理由のひとつに、明治時代以降、双六が多くの雑誌、特に児童雑誌の付録として広く普及したことがあげられます。さまざまな題材について、流れに沿って遊びながら仮想体験できる双六は、教育や宣伝に効果を発揮する媒体でした。
ここで紹介するのは、そうした雑誌付録の絵双六コレクションです。蒐集したのは北九州小倉で長年学校教諭を務めた岡田一氏(1919年生)。教育関連資料をはじめとする同氏の蒐集品は、当館所蔵の個人コレクションとしては最大を誇り、その数は二万件にも及びます。
6 雑誌創刊号
「趣味」創刊号
岡田氏の蒐集品のうち特に充実したジャンルが、雑誌の創刊号コレクションです。明治7(1874)年に出た「明六雑誌」をはじめ、明治から大正、昭和にいたる雑誌の誕生当初の姿が、三千タイトル以上も集められているのです。
次々と刊行される雑誌の網羅的な収集は、個人には(ほとんどの図書館ですら)不可能なことです。そこで蒐集家が目をつけたのが創刊号に絞って集めていくという方法でした。とはいえ、これだけの数を集めることは、並大抵のことではありません。ここにそのすべてを展示することはできませんが、圧巻の蒐集家魂を感じていただきたいと思います。
(松村利規)