古代と暦
平成31年4月9日(火)~令和元年6月9日(日)
三 暦にきく 暦で知る
古代に使用された太陰太陽暦は、年により日の数が変わり、一年が13ヶ月になることもありました。人びとが日にちを把握するため、暦の意味は今以上に大きいもので、日にちのほかに様々な情報が記載された具注暦は、日々の行動指針にもなっていました。
方違は大将軍神ほか方角神がいる方角に
向かうことを避けるため行われた。
(『立表測景暦日諺解』より)
例えば、方位の吉凶は方違(かたたがえ)の参考として用いられ、外出先の方角が悪い日には前夜に別の方角に行って泊まり、改めて目的地にむかうこともありました。方違など暦をもとにする動きは『源氏物語』や『土佐日記』などに、当時の日常的な習慣としてみることができます。
そのほか、一年の季節を知る目安となる24節気は奈良時代の儀鳳暦から存在し、卯月(うづき)(4月)、皐月(さつき)(5月)といった月の和名も、早く『古事記』や『万葉集』にみることができます。平安時代後期の具注暦には曜日も見えます。これらは江戸時代の太陰太陽暦の暦にはもちろん、太陽暦になった今でもなじみがあるもので、1千年以上、暦に記載されてきたものなのです。
おわりに
日本の暦を古代から通してみると、私たちが使用する太陽暦は、時の区切り方としてまだ歴史が浅いものですが、カレンダーには、長く人びとの生活に根付き、暦の一部として用いられてきた語句をみることができます。今回、典拠が初めて日本の歌集となった元号もその一つ。ぜひ元号だけでなく色々な言葉にも注目してみて下さい。(佐藤祐花)