展示・企画展示室

No.628

企画展示室1

博多祇園山笠展25

2026年6月18日(木)~ 8月16日(日)

はじめに
1 博多祇園山笠巡行図屏風(部分)
1 博多祇園山笠巡行図屏風(部分)

 博多祇園山笠はかたぎおんやまがさは、毎年七月一日から十五日にかけて行われている櫛田神社くしだじんじゃ(福岡市博多区)の夏の祭礼です。昭和五十四(一九七九)年に国の重要無形民俗文化財に指定され、平成二十八(二〇一六)年に「山・鉾・屋台行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。祭りの期間中、福岡市内各所に高さ十数メートルの飾り山笠やまが立ち、七月十日以降は七つのき山笠が博多の町中を舁き回ります。それぞれの山笠には毎年異なる標題ひょうだい(飾りの題材、テーマ)で博多人形師による細工人形などの飾り物が飾り付けられます。
 当館では山笠行事の期間にあわせて、ほぼ毎年「博多祇園山笠展」を開催しています。二十五回目となる今回は、祭りの風景を描いた屏風や絵馬、山笠を立てるにあたって作成された絵図などを通して、江戸時代の豪華絢爛な博多祇園山笠の様子を紹介します。

祭りの風景
4 博多祇園山笠図屏風(部分)
4 博多祇園山笠図屏風(部分)

 今回の展示では、祭りの風景を描いた絵画を3点紹介します。「博多祇園山笠巡行図屏風」【資料1】は、博多祇園山笠を描いた最古の屏風絵として知られています。その景観年代は、屏風中央部の山笠の標題(木札に「三浦北条軍」と記されている)や左上部の櫛田神社から出てくる山笠の標題(「東山」という木札が見える)、それぞれに飾り付けられた人形の内容などから貞享じょうきょう三(一六八六)年と考えられています。
 この屏風では、祭りに参加した人びとが、周辺の屋敷よりもはるかに背の高い山笠を舁いて回る様子だけでなく、右側中央部には祭りに向けて山笠を組み上げている人びとが見えます。江戸時代前期の博多祇園山笠の情景が準備段階から描かれている点が特徴です。
 「追い山図絵馬(レプリカ)」【資料2、資料3】は、博多祇園山笠のクライマックスを飾る行事である「追い山笠」を描いたものです。前者は文政ぶんせい十三(一八三〇)年九月に横山神社(福岡市早良区脇山)、後者は嘉永かえい七(一八五四)年三月に警固けご神社(同南区警弥郷けやごう)に奉納されたものです。
 描かれているのはいずれも山笠を櫛田神社の境内に舁き入れる「櫛田入り」の場面です。前者では鳥居の周りなどに数多くの見物客、山笠の前後や境内には舁き手(山笠を担ぐ人)をはじめとする祭りに参加した人びとがひしめき合うように描かれ、当時の熱気が伝わってくるようです。
 後者では「櫛田入り」の様子が遠景から描かれており、博多の町中を舁き回る山笠や、それを屋敷の屋根の上から見物する人たちの姿が見え、「追い山笠」当日の博多の状況をうかがい知ることができます。

変わりゆく山笠の姿
12 博多祇園山笠図(豊公遣粮策)
12 博多祇園山笠図(豊公遣粮策)

 江戸時代の山笠は、現在の飾り山笠のような背が高い山笠でした。その姿は江戸時代を通じて同じではなく時を経るにつれて少しずつ変化していきました。
 「博多祇園山笠巡行図屏風」に見える山笠は、着物や甲冑を着た人形も飾り付けられていますが、上部に数多くの旗指物はたさしものが施されている点が特徴で「旗指し山」とも呼ばれています。
 宝永ほうえい五(一七〇八)年、山笠の標題は福岡藩の命により、奇数番の山笠は合戦物、偶数番は優美な内容の物語を標題とすることが決められました。前者は「修羅しゅら」「さし山」と言い、上部に城郭などの作り物を据えて鶴亀や神額などの飾りを付けた竿を立てました。後者は「かずら」「堂山」と言い、同じ箇所に御堂や館などの飾りを施しました。
 寛政かんせい八(一七九六)年の山笠を描いた「博多祇園山笠図屏風」【資料4】を見ると、山笠の上部には城郭や御堂などの建物が前述の決まりごとの通りに配置されています。また岩山や波を表現した作り物が中央部から下部にかけて飾られ、その姿は上下が大きく中央部がくびれた鼓のような形になっています。
 時代が下って、安政あんせい三(一八五六)年の山笠を描いた「博多祇園山笠図屏風」【資料6】を見ると、建物や岩山などの作り物が洗練され、前の時代と比較してより豪華になった印象を与えています。山笠の姿は、下部が太く上方に向かって少しずつ細くなっていく山のような形となり華やかさが増しました。

山笠を彩る
10 博多祇園山笠図(良将登庸初)
10 博多祇園山笠図(良将登庸初)

 博多祇園山笠では、毎年、ながれ(数ヵ町~十数ヵ町からなる山笠の行事運営を行う単位)ごとに新たな標題を決めて山笠の飾り付けが行われます。
 江戸時代も同様で、その年の山笠を取り仕切る当番町が前年もしくは前々年から話し合いを重ねて標題を決めていたと伝えられています。標題が決まると、当番町は福岡藩から山笠を立てる許可を得るために、飾りの内容を描いた絵図を作成して町奉行所に提出しました。藩から許可が下りた後には、正式な絵図を改めて作成し藩主と年行司ねんぎょうじ(町の自治を統括する役職)に献上しました。
 福岡藩主・黒田家には、この過程で作られたと考えられる「博多祇園山笠図」が伝来しています。標題の内容は、能や狂言の番組に取材したものから、「三国志」など中国の故事に関わるものなど様々です。今回の展示では、源義経みなもとのよしつね豊臣秀吉とよとみひでよしに関わる標題の絵図【資料7~12】を展示し、江戸時代の豪華絢爛な山笠の飾りを紹介します。

(髙山英朗)
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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
2026年7月24日~8月23日の金・土・日・祝日と8月13日(木)は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※年末年始の休館日は12月28日(月)~1月4日(月)まで

Facata(博物館だより)

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