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No.466

企画展示室2

山水図

平成28年2月16日(火)~平成28年4月17日(日)

⑨ 平野五岳筆 山水図

⑨ 平野五岳筆 山水図

―南画の山水―

⑦山水画帖(さんすいがじょう)  1帖
  絹本着色 17.2×45.0(各)
  石丸春牛 嘉永4年(1851)

⑧山水図(さんすいず)  1幅
  紙本墨画 28.7×35.3
  平野五岳 安政6年(1859)

⑨山水図(さんすいず)  1幅
  絹本墨画淡彩 146.0×52.6
  平野五岳 明治4年(1871)

 江戸時代における山水画の重要な担い手として南画家(なんがか)の存在が挙げられます。南画は文人(ぶんじん)画(が)とも呼ばれ、本来は中国の文人(知識人)の余技として成立したものですが、日本でも江戸時代中頃から高まった中国文化への憧れを背景に、池大雅(いけのたいが)や与謝蕪村(よさぶそん)をはじめとする優れた南画家があらわれ、九州でも豊後竹田の田能村竹田(たのむらちくでん)らが活躍しています。
 ⑦は江戸時代後期の筑前の町絵師で村田東圃らと並ぶ「筑前四大画家」のひとり、石丸春牛(いしまるしゅんぎゅう)(1793~1860)の山水画帖です。春牛は長崎に来遊していた備中出身の南画家、浦上春琴(うらがみしゅんきん)に師事して京都に赴き、中国・明清の南画を研究していますが、春景から冬景の11面を収めた本画帖にはそうした学習の成果がよくあらわれています。
 ⑧・⑨は豊後日田の浄土真宗僧侶・南画家で幕末から明治中期にかけて活躍した平野五岳(ひらのごがく)(1809~1893)の山水図です。五岳は田能村竹田の作品に感化されて画業に目覚め、生涯を通じて多くの山水図を描いていますが、画だけでなく詩と書にも秀でていたことから「三絶僧(さんぜつそう)」と称えられました。


⑪ 平野五岳筆 富士図(部分)

⑪ 平野五岳筆 富士図(部分)

―霊峰を描く―

⑩富士図(ふじず)  1幅
  絹本墨画淡彩 38.9×49.5
  司馬江漢 天明9年(1789)

⑪富士図(ふじず)  1幅
  絹本墨画 139.6×48.0
  平野五岳 明治10年(1877)

 東洋絵画としての山水画は特定の山や川を描いたものではなく、常に人間存在や心中の理想郷の投影としての観念的な意味を内に含んでいますが、江戸時代に多く描かれた富士図も、富士山が日本人の信仰や精神風土に深く関係するという意味で、日本独自の山水表現と見なすことができるかもしれません。
 ⑩は日本の洋風画の開拓者で、富士山を好んで描いた、司馬江漢(しばこうかん)(1747~1818)の作品です。駿河の矢部山(やべさん)(現・静岡市)から美保(みほ)の松原(まつばら)越しに見た、いかにも江漢らしい写実的な富士図ですが、天明9年(1789)に博多に滞在した際に描いたことが落款からわかります。江漢は前年から長崎旅行の途上にあり、その時初めて見た富士に大きな感銘を受けたようで、「誠に天下絶景なり」と日記に書き残しています。
 ⑪は前出の平野五岳が描いた富士図です。江漢の作品とは異なり、茫洋とした筆使いで絶壁のようにそそり立つ富士の山容をあらわし、画中には「中国やインドまで見渡せる」と富士を称える雄大な賛文が添えられています。五岳は本図と同じ賛文をもつ富士図を明治13年(1880)にも描いています。

―深遠なる中国山水―

⑩楼閣山水図(ろうかくさんすいず)  1幅
  絹本墨画淡彩 38.9×49.5
  司馬江漢 天明9年(1789)

⑪富士図(ふじず)  1幅
  絹本着色 308.9×191.8
  袁耀

 中国・清(乾隆41年=1777)
中国・清時代の画家、袁耀(えんよう)(生没年不詳)が描いた、縦3メートルを超える大幅の山水図です。袁耀は江都(こうと)(現・江蘇省揚州)出身で、宮廷画家であった叔父の袁江(えんこう)と同様に山水楼閣図を得意としていました。その画風は当時の中国で盛んであった文人画とは異なり、青緑の濃厚な色使いと、界画(かいが)と呼ばれる定規を用いた細密な描写を特色としています。落款に「擬緑野杢意(りょくやもくいにぎず)」と記すのもそうした表現意図をあらわしたものでしょう。大画面を生かした壮大で奥行きのある作品であり、前に立つとまるで画中に入っていけるかのような錯覚を覚えます。そこには人と自然を一体とみる、中国の伝統的な思想が息づいているようです。

(末吉武史)

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