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No.559

企画展示室4

発掘された戦争の痕跡(こんせき)

令和2年8月12日(水)~9月13日(日)

防衛食容器 (山王遺跡出土)
防衛食容器 (山王遺跡出土)

 今年は戦後75年。これまで福岡市域では2千カ所を超える発掘調査が行われ、各時代の重要な遺構や遺物が発見されました。発掘調査された遺構や遺物の中には、明治時代以降の戦争や軍事に関連するものも少なくありません。

 この企画展では、福岡城内におかれた連隊関連の遺物を中心に、福岡市の発掘調査で出土した戦争関連遺物を展示します。あらためて戦争と平和を考える機会になれば幸いです。

一 福岡の変

 明治9年(1876)不穏な動きがあった鹿児島県に備え、歩兵第14連隊の大隊が福岡城内に設置されました。翌年始まった西南戦争と連動して、旧福岡藩士などが福岡で挙兵し、いわゆる「福岡の変」が勃発しました。彼らは七隈の大隊屯所(だいたいとんしょ)や福岡城跡を襲いましたが、敗れて甘木(現在の朝倉市)へ逃れました。福岡城跡や七隈周辺の古墳では、その時のものと思われる弾丸(だんがん)・薬莢(やっきょう)・雷管(らいかん)が出土しています。

二 福岡城の陸軍 

 かつて鴻臚館(こうろかん)・福岡城があった地に、明治19年(1886) 陸軍歩兵第24連隊が置かれ、兵舎などが整備されました。その後も城内には旅団司令部・病院など各種の軍施設が整備されます。昭和20年(1945)6月の福岡大空襲で兵舎などが焼失した後、陸軍の部隊は一部を残して現在の筑紫野市山家(やまえ)などに移転しました。陸軍の建物跡は、鴻臚館や福岡城の発掘調査に伴って再発見され、多くの遺物が出土しています。

三 防空壕(ぼうくうごう)

 第1次世界大戦で初めて飛行機が戦争に使われると「防空」という考え方がうまれました。日本でも防空の重要性が説かれ、防空演習も行われました。昭和17年(1942)、内務省防空局が「防空退避施設指導要領」を作成し、「簡易にして構築容易なるもの」として、各家庭の庭や床下に簡易な防空壕が掘られました。発掘調査でも、これらの個人用・家庭用の防空壕が見つかっています。

四 空襲(くうしゅう)

 昭和19年(1944)福岡県八幡市(現在の北九州市八幡東区・同西区)をB-29が初めて飛来しました。翌年になると、米軍爆撃機は各地で大規模な空襲を行いました。昭和20年6月19日深夜、米軍は博多や天神の市街地などを焼き尽くしました。福岡大空襲です。被災者数6万人以上、死者・行方不明者は千人を超えました。福岡城内にあった軍の建物群の多くも類焼し、軍隊にも死傷者が出ました。

五 その他の戦争関連遺物

 弥生時代や古墳時代の遺跡からも、戦争関連の遺物が出土することがあります。例えば戦時中の金属代用製品や、軍隊を退役した時の記念品、ヘルメット、軍人の人形などが出土しており、軍の施設以外でも、「戦争」の時代の影響をみることができます。 

六 終戦・平和台

 昭和20年(1945)8月15日、政府はポツダム宣言の受諾を宣言しました。翌9月末には米軍が進駐してきました。昭和21年に日本国憲法が公布、翌22年施行され、その前文には繰り返し、「平和」の文字が登場します。かつて陸軍があり、その後米軍が占拠した福岡城跡では、岡部平太(おかべへいた)らの尽力により、昭和23年第3回国民体育大会が開催され、競技場などは「平和台」と名付けられました。 

参考 日本国憲法前文(抜粋)
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

七 福岡市内の戦争遺跡

 福岡連隊の他にも福岡市内には多くの軍の施設が存在しました。中央区薬院周辺には陸軍第6航空軍司令部がおかれ、帰還した特攻隊員を収容した振武寮(しんぶりょう)などがありました。博多区席田(むしろだ)には陸軍席田飛行場(現福岡空港)、東区海の中道に博多海軍航空隊、西区周船寺(すせんじ)周辺に福岡海軍航空隊が設置されました。その他、本土防衛のために数多くの陸海軍施設が作られました。西区小呂島(おろのしま)には砲台跡が良好な形で残っており、小呂小中学校や地元の方々によって手作りの案内板やマップが制作されています。(米倉秀紀)

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休館日

開館時間
9時30分~17時30分
(入館は17時まで)
※7月22日〜8月26日の金・土・日・祝日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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