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No.589

企画展示室4

福岡市水道創設100周年記念 水とくらし

令和5年1月17日(火)~3月26日(日)

水道の道具

 安定的な給水を実現するために重要だったのは、配水管をつなぎ合わせてはりめぐらすことでした。水道創設から昭和時代戦後まで、鋳鉄製の配水管をつなぎ合わせる際には、受け口に挿し口を差し込み、隙間を麻と溶かした鉛でふさぐ「印籠型継手(いんろうがたつぎて)」という手法が用いられました。この手法では、麻や鉛だけでなく、麻を隙間に詰め込むためのハダ打ちや、溶かした鉛を小分けにするコッギと呼ばれる鍋など、さまざまな道具が使われました。印籠型継手は剛性の高い接合方法ですが、振動や揺れに対するしなやかさに欠けるため、ゴム素材を使った新たな接合方法が考案されました。

 水道の給水栓は専用栓と共用栓がありました。共用栓はひとつの給水栓を共同で使うもので料金は昭和3年(1928)3月まで定額でした。一方、専用栓は使用した分だけ料金を支払う計量制であったため、福岡市は国産品とドイツ製品の水道メーターを購入しました。水道メーターは水道管の口径によって種類が分かれており、最も小口径である13㎜のメーターの設置数が多くを占めました。

現代の水道

 福岡市の水道は当初人口12万人を想定して創設されましたが、給水がはじまった大正12年の段階ですでに14万人を超えており、順次拡張事業を行うことになりました。第1回拡張事業は曲渕水源地の拡張で、昭和9年(1934)に完了しました。昭和の戦争が終わった後も拡張事業はすすめられ、昭和20年代から30年代にかけて那珂川、多々良川(たたらがわ)水系からの取水が行われるようになります。昭和40年代以降は、南畑(みなみはた)ダム(那珂川水系)、久原(くばら)ダム(多々良川水系)、江川(えがわ)ダム(筑後川(ちくごがわ)水系)、脊振(せふり)ダム(那珂川水系)、瑞梅寺(ずいばいじ)ダム(瑞梅寺川(ずいばいじがわ)水系)の供用がはじまり、新たな水源を確保しました。

南畑ダム(昭和53年)(福岡市水道局提供)
南畑ダム(昭和53年)(福岡市水道局提供)

 水資源の確保をすすめる過程で、福岡市は2度の大きな渇水を経験しました。3月から5月にかけての降水量が非常に少なかったことが原因で、昭和53年には287日間、平成6年(1994)には295日間の給水制限が実施されました。渇水を教訓として、福岡市は昭和54年に「福岡市節水型水利用等に関する措置要綱」を制定し、水道水の安定供給と水の有効利用を促進する取組をはじめました。浄水場から蛇口までの水の流れと水圧を制御する「水管理センター」の設置(昭和56年)や、6月1日を「節水の日」と定め市民に節水を周知するなどの活動を行っています。昭和58年には筑後川からの取水がはじまり、水資源確保の安定性が向上しました。

 平成15年に福岡市は全国で初めて「節水推進条例」を施行し、さらなる節水への理解と水資源の有効利用に取り組んでいます。令和3年(2021)に五ケ山(ごかやま)ダムの供用が始まり、福岡市の水源開発は完了しました。現在は水道水の安定供給のため浄水場の再編や配水管の整備、貴重な水資源の有効利用のための漏水防止対策、節水に向けた広報活動をすすめています。 (朝岡俊也・野島義敬)

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pressrelease

休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

Facata(博物館だより)

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