展示・企画展示室

No.549

企画展示室3

チベットのマンダラ

令和2年1月21日(火)~9月13日(日)

2 パドマサンバヴァ像(部分)
2 パドマサンバヴァ像(部分)

 当館は平成11年に福岡県篠栗町(ささぐりまち)の真言宗寺院・南蔵院(なんぞういん)から、チベット仏教コレクションの寄贈を受けました。この資料は、チベット仏教寺院の内部を再現した実物大のセットで、チベット仏教の高僧が監修し、インドにある実際の僧院をモデルにして作られました。

 コレクションは本尊パドマサンバヴァ像を安置する極彩色の仏壇のほか、多数の仏像・仏画・経典・仏具などからなり、総数は約400点に及びます。

 本展示ではチベット仏教の神髄とも言えるマンダラや、日本の寺院では見ることのできない不思議な仏たちをあらわした仏像・仏画などを通して、その神秘的な世界をご紹介します。

◇ チベット仏教

 チベットはユーラシア大陸の中央、ヒマラヤ山脈の北側に広がる世界最大の高原地帯の名称で、現在ではその大半が中華人民共和国のチベット自治区に含まれています。平均標高が4000メートルを超えると言われるこの地域では、7世紀にチベット族が吐蕃(とばん)王朝を立て、やがて仏教が国教とされました。以来、厳しい自然環境と人々が織りなす独自の仏教文化が開花し、また13世紀になるとチベットはモンゴル帝国の庇護を受け、僧パクパ(パスパ)は元(げん)の皇帝フビライの帝師(ていし)として活躍するなど、中国仏教にも大きな影響を及ぼしました。

◇ 密教(みっきょう)について

 チベット仏教は常にインド仏教の直接的な影響を受けてきたことから密教的な色彩を強く帯びています。密教とは6~7世紀にインドで急速に広まった神秘主義的な仏教思想で、有限な人間が無限の存在である仏と究極的には異ならないと、修行者自身が体験を通じて知ることを目的としています。こうした思想は日本にも平安時代初期に唐(とう)に留学した空海(くうかい)や円仁(えんにん)・円珍(えんちん)らによってもたらされ、前者は真言密教(東密(とうみつ))、後者は天台密教(台密(たいみつ))として独自の発展を遂げました。

 チベットでも同じ頃、インドから来た行者パドマサンバヴァが土着の神々を調伏(ちょうぶく)して密教をひろめたと伝えられ、その伝統は今もニンマ派(古派(こは))と呼ばれる宗派に承け継がれています。展示資料もニンマ派の教義に基づいて作られたもので、仏壇には目を大きく見開いた本尊パドマサンバヴァや、その本体とされる無量寿仏(むりょうじゅぶつ)、また女性の性的な力を象徴するダーキニー(空行母(くうぎょうも))などの像を安置する独特の構成が見られます。

 ところでインドではパドマサンバヴァのチベット布教以後も密教の研究が重ねられ、それは13世紀初頭にイスラム教徒の侵攻などによって仏教が滅ぶまで続きました。今日のチベット仏教に見られる密教的な要素は、こうしたインドで成熟した密教(後期密教)がチベットに伝えられたことと深く関係しています。

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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
※2024年7月26日~8月25日の金・土・日・祝日と8月12日~15日は20時まで開館(入館は19時30分まで)
休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
※2024年8月12日~15日は開館し、8月16日に休館
※年末年始の休館日は12月28日から1月4日まで

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