平成11年12月7日(火)~平成12年3月26日(日)
押し型でつけた亀甲文 |
たがねできざんだ銘文 |
また、博多鋳物師の鐘には、亀甲文(きっこうもん)など押し型を使ったがよく見られます。鋳物に文様をつけるには、鋳型の表面をへらやスタンプ状の押し型でくぼませる、出来上がった鋳物の表面をたがね(金工用ののみ)で彫る、といった方法があります。押し型は、茶の湯釜でよく使われてきたものです。芦屋鋳物師の作った釜にも表面がびっしりと亀甲文で埋め尽くされたものがあります。押し型を梵鐘の文様にも使うのは、茶の湯釜の名工として知られた太田・山鹿氏らしいやり方であり、ほかの鋳物師たちも影響を受けたのでしょう。
博多の鋳物は明治以降も盛んでした。しかし、第2次世界大戦で工場は焼失し、また、鉄や青銅の道具に対する需要自体も少なくなり、今では博多鋳物師の伝統を受け継ぐ人はいません。しかし、茶の湯釜や仏具など、彼らが作ったものの中には、まだ、現役の道具として大切に使われているものも数多くあります。
博多鋳物師は、立派な仏具、美しい茶道具、丈夫な鍋釜、便利な農具を作ることによって、筑前やその周辺の人々の信仰、文化、くらしに大きく関わっていた存在だったのです。
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12 旧博多大仏残欠 (螺髪部分)(称名寺蔵) |
7 雲版(千如寺大悲王院蔵) |
14-(3) 犂先の鋳型片 (福岡市埋蔵文化財センター蔵) |
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