平成23年9月21日(水)~11月6日(日)
「玄洋社跡」碑(福岡市中央区舞鶴 2-3-1 NTTドコモ舞鶴ビル敷地内) |
孫文が訪ねた福岡ゆかりの「旧友」
南公園(福岡市中央区)の展望台には「中山紀念碑」(中山は孫文の号)が建っています。孫文の生誕100年を記念して、昭和40(1965)年に建てられた記念碑です。この碑には、「中国革命期間」に孫文が数回福岡を訪れたこと、革命に協力した日本人がいたことなどが刻まれています。大正2年の日本公式訪問で、孫文は多くの「旧友」と会っています。その中から、福岡にゆかりのある人びとをみてみましょう。(五十音順)
玄洋社(げんようしゃ)
民権結社向陽社(こうようしゃ)を母体に、平岡浩太郎・箱田六輔(はこだろくすけ)・頭山満らが、明治12・3年頃設立した結社。昭和21年、GHQ(連合国最高司令官総司令部)指令で解散。
3月18日、孫文一行が西職人町の玄洋社を訪問。その他、多くの玄洋社関係者が、この訪日中に孫文と旧交を温めている。
進藤喜平太(しんとうきへいた)(1850~1925)
福岡藩士進藤栄助の子。玄洋社第二代社長、大正2年の孫文来日時は玄洋社第五代社長をつとめていた。玄洋社の最後の社長である進藤一馬(かずま)は、喜平太の子。
3月18日、旧友会に出席。
末永節 (1869~1960)1912年頃 |
頭山満(1855~1944)1907年頃 |
宮崎滔天(1871~1922)1913年頃 |
末永節(すえながみさお)(1869~1960)
福岡藩士末永茂世(しげよ)の子、ジャーナリスト末永純一郎の弟。1901年、黒龍会の結成に参加。武昌蜂起がおこると、すぐに革命軍に参加。兄純一郎の死後、純一郎が大連で創刊した「遼東新報」社長に就任。
2月13日に孫文一行が長崎に到着した際、来日中の胡瑛とともに出迎える。
寺尾亨(てらおとおる)(1858~1925)
福岡藩士寺尾喜平次の子。国際法学者。辛亥革命がおこると、帝国大学教授の職を捨て、孫文の革命政府の顧問となった。
3月18日、旧友会に出席。
頭山満(とうやまみつる)(1855~1944)
西新町(福岡市早良区西新1丁目)生まれ。高場乱の人参畑塾などで学ぶ。矯志社(きょうししゃ)の結成に参加、萩の乱に連座して投獄される。箱田六輔・平岡浩太郎とともに「玄洋社三傑」に数えられる。金玉均・孫文・ボースらアジアの革命家たちを支援した。
2月14日、孫文一行を新橋駅で出迎え。東京滞在中に催された歓迎会などに出席。
中野徳次郎(なかのとくじろう)(1857~1918)
嘉穂郡二瀬町(現・飯塚市)生まれ。炭鉱経営に成功し、さまざまな会社の経営に関わった。明治39年には衆議院議員に当選。中国革命の活動家たちを支援した。
3月18日、孫文一行が大名町の中野別邸を訪問。旧友会に出席。
平岡浩太郎(ひらおかこうたろう)(1851~1906)
福岡藩士平岡仁三郎の子。玄洋社の初代社長。炭鉱経営に成功し、玄洋社の活動を支えた。明治27年以降、衆議院議員に連続6回当選。日本亡命中の孫文を経済的に支援した。
3月18日、孫文一行が聖福寺の平岡浩太郎の墓参りをし、平岡家を訪問。
平岡常次郎(ひらおかつねじろう)(~1944)
平岡浩太郎の弟。
3月18日、旧友会に出席。
平岡良助(ひらおかりょうすけ)(~1919)
平岡浩太郎の長男。
3月18日、
孫文一行が天神町の平岡家を訪問。旧友会に出席。
松本健次郎(まつもとげんじろう)(1870~1963)
安川敬一郎の二男。
3月18日、旧友会に出席。
宮崎滔天(みやざきとうてん)(1871~1922)
肥後国玉名郡荒尾村(現・熊本県荒尾市)生まれ。中国革命の援助者。明治30年、横浜で孫文と出会う。李朝後期の政治家で、朝鮮の近代化をめざした金玉均(きんぎょくきん)とも交流があった。「九州日報」(「西日本新聞」の前身の一つ)の記者であった時期もある。
2月13日、孫文一行を長崎で出迎え、東京へも同行、ほぼ全日程を共にし、孫文一行の帰国時は上海まで同行。3月19日、三井炭坑などの視察の合間に、孫文は宮崎の実家も訪問。
安川敬一郎(やすかわけいいちろう)(1849~1934)
福岡藩士徳永省易の子。安川財閥の創始者、男爵。炭鉱経営で成功。明治専門学校を創立。頭山満を通して、あるいは直接に孫文の革命運動を経済的に支援した。
3月18日、旧友会に出席。
安川清三郎(やすかわせいざぶろう)(1877~1936)
安川敬一郎の三男。3月18日、旧友会に出席。
安永東之助(やすながとうのすけ)(1872~1905)
西方寺前町(福岡市博多区奈良屋町)生まれ。東京美術学校で絵画を学んだほか、測量術なども研究。日露戦争で満州義軍に参加、戦後も満州にとどまっていたが、狙撃されて死去。
3月18日、孫文一行が崇福寺の安永東之助の墓参りをし、遺族と面会。