展示・体験学習室

No.420

企画展示室3

No.420 南蔵院寄贈 チベット仏教コレクション2 -曼茶羅の神々-

平成25年10月8日(火)~

胎蔵界曼荼羅図〈参考〉千如寺大悲王院寄託
胎蔵界曼荼羅図〈参考〉千如寺大悲王院寄託

 企画展示室3では福岡県篠栗町にある南蔵院(なんぞういん)から寄贈されたチベット仏教コレクションを順次紹介しています。今回は仏教的な世界観をあらわした曼荼羅(まんだら)に注目します。

 今から約2400年前に釈迦によって開かれた仏教はインドから中央アジアを経て中国や朝鮮半島、日本などに伝わるいっぽう、ヒマラヤ山脈を越えてチベットにももたらされました。
 チベットはユーラシア大陸の中央に広がる大高原地帯で、7世紀にはチベット族が吐蕃(とばん)王国を立て仏教を取り入れました。平均標高4000メートルといわれるこの地は厳しい自然が支配し、外部からの侵略を遮断する地理的な条件を備えていました。そのためチベットの仏教はインドの影響を受けながらも土着の宗教と融合し、長い時間をかけて独自の発達を遂げていきます。そして13世紀にインドで仏教が滅んだ後も、その巨大な文化的遺産を今日まで護り伝えてきました。

 チベットの仏教は11世紀頃にインドで成立した後期密教(みっきょう)の影響を強く受けています。後期密教は修業のプロセスに性的な要素を含む人間の感覚器官のはたらきを大胆に取り入れ、より強力に悟りの境地に到達しようとする教えです。日本にも平安時代初期に空海らによって中期段階の密教がもたらされますが、後期密教は一部を除いて入ってきませんでした。そのためチベット寺院の仏像などには日本の密教と共通する部分があるいっぽう、多くの異なる要素が含まれています。
 例えば明妃(みょうひ)と呼ばれるセクシーな姿をした女性の尊像や、父母仏(ふもぶつ)と呼ばれる男女の仏が抱き合う尊像が多数まつられています。また憤怒系の尊像では骸骨や血や肉といった、奇怪でグロテスクな表現も見られます。

 これらは一見過激に見えますが、決してチベットの人々が残酷で性的なことを好んだことを意味しているわけではありません。例えば父母仏は悟りの智慧(般若(はんにゃ))を女性、悟りを得るための手段(方便(ほうべん))を男性に当てはめ、両者がひとつになることで悟りが完成することを象徴的にあらわしています。また骨や血、肉といった表現は肉体への執着を絶ち、神仏に帰依するということを教えているのです。

図1 須弥山図
図1 須弥山図
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休館日

開館時間
9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
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休館日
毎週月曜日
(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
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