平成25年12月10日(火)~平成26年2月9日(日)
2、人生のハイライト
写真がありのままの姿を残すのとは対照的に、肖像画は理想の姿を残すことが可能でした。江戸時代の人々は時に、人生最高の誉れの瞬間を肖像画の中に真空パックにして保存しました。
肖像画4 大音重成(おおとしげなり)像(個人蔵)
天草(あまくさ)・島原(しまばら)の一揆(いっき)鎮圧で活躍し、最終的には8000石の大身に出世した大音重成の姿を描いた肖像です。背後に掲げられた兜は島原での活躍によって福岡藩二代藩主忠之(ただゆき)から拝領した品で、同家の第一の家宝といえる物です。
肖像画5 戸川信龍像(館蔵) |
肖像画5 戸川信龍(とがわのぶたつ)像(館蔵)
背中に吹き流しを付けて乗馬した姿を描いた珍しい肖像です。賛には、福岡藩の馬の調教役であった戸川信龍が家老の馬を上手に乗りこなして賞賛を受けたことをが詳細に記されています。乗馬姿の信龍像は他に2点存在しており、この時の喜びを後世に伝えようとした意図がうかがえます。
3、仕事と記号
肖像画の中にはその人物の人となりを示す小道具が描かれることがよくあります。専門的な仕事をしていた場合、特にその傾向が見られ、愛用の道具の存在によって、その人の職業を知ることが出来ます。
肖像画6 田中定次(たなかさだつぐ)像(館蔵)
福岡藩主の甲冑制作や修理を担当していた具足師(ぐそくし)の姿を描いた肖像です。傍らには藩主のものらしき兜が置かれています。
肖像画7 松村方成(まつむらかたなり)像(館蔵)
秋月(あきづき)藩士で郡(ぐん)・町(まち)・寺社奉行(じしゃぶぎょう)などを歴任し、以心流(いしんりゅう)の剣術師範(しはん)としても活躍した人物を描いた肖像です。手前には木刀が置かれ、像主の役割を連想させます。
肖像画4 大音重成像(個人蔵) |
肖像画6 田中定次像(館蔵) |
肖像画7 松村方成像(館蔵) |