展示・体験学習室

No.425

企画展示室2・黒田記念室

黒田二十四騎展4 官兵衛を支えた男たち

平成26年2月11日(火・祝)~4月13日(日)

古文書と記録にみる二十四騎
 二十四騎の活躍については、彼らが送ったもしくは受け取った書状など、いわゆる古文書を通して、より具体的に知ることができます。古文書からは戦場における活躍に加えて、慶長5年12月、関ヶ原合戦の功績によって黒田家が筑前に入国して以降、領内支配を進めていく上で、二十四騎がどのような役割、役目を担ったかもうかがえます。例えば、黒田長政掟書(資料番号9)は、慶長17年9月、黒田長政が井上之房に宛てた五ヶ条からなる掟書です。之房は、江戸時代初期、支城のひとつである黒崎城(くろさきじょう)(北九州市八幡西区)を預けられ、御牧郡(みまきぐん)(のちの遠賀郡(おんがぐん))の郡奉行として郡内の農政全般を任せられていました。この掟書は年貢収納や給人(きゅうにん)による百姓の使役(しえき)などについて定めたもので、之房の領内支配における役割がうかがえます。
 江戸時代中期になると、黒田家の草創期を支えた家臣を顕彰する風潮が生まれ、黒田家の歴史書である「黒田家譜(くろだかふ)」を編さんした福岡藩の儒学者・貝原益軒(かいばらえきけん)によって家臣の伝記集が編まれるようになります。「御家人先祖由来記(ごけにんせんぞゆらいき)」(資料番号11)は、黒田孝高・長政・忠之(ただゆき)に仕えた家臣119家を挙げ、各家の由緒や系譜に重点をおいて記したものです。一方、「黒田家臣伝(くろだかしんでん)」は(資料番号10)黒田家草創期に功績のあった家臣27名の略伝で、孝高の弟3人と衣笠、小河、桐山を除く二十四騎の伝記も収められています。また、同じ時期に家臣個人の伝記や系譜の編さんも行われるようになり、これらからも二十四騎の活躍を知ることができます。

絵画にみる二十四騎
 江戸時代中期、「黒田家譜」や家臣伝が編さんされるようになると、中でも武功をもって黒田孝高や長政を支えた24人の家臣が一括りにされ、「黒田二十四騎」として絵画に描かれるようになります。黒田二十四騎図は、元文(げんぶん)4年(1739)に二十四騎の原種良の子孫・原種次(たねつぐ)が描いたものが最初とされていますが、4代藩主黒田綱政(つなまさ)に仕えた御用絵師・狩野昌運(しょううん)の作例が知られ、元禄(げんろく)期(1688~1704)には成立していたものと考えられます。制作年代が分かる作例としては、享保(きょうほう)19年(1734)5月作成の銘がある土生清俊(はぶきよとし)が描いた白描の二十四騎図が最も古いものとなります。
 江戸時代中期以降、多くの二十四騎図が制作され普及していきましたが、多くの図様は想像に基づいて描かれていました。十代藩主黒田斉清は、世間に流布している二十四騎図の誤りを正すため、文化(ぶんか)7年(1810)、御用絵師・尾形洞谷(おがたどうこく)に二十四騎各個人の画像調査と精密な二十四騎図の制作を命じました。洞谷は、二十四騎の子孫の家々に伝わる肖像画や甲冑、武具を調査するだけでなく、関連資料が無い場合は伝承や書籍などを参考にしました。この調査に基づいて描かれたのが、黒田家に伝来した黒田二十四騎画帖(資料番号21)と考えられています。黒田二十四騎画帖については、稿本段階の模写(資料番号19)や紙形(かみがた)(修理や新しく制作する際の雛形、資料番号20)も現存しており、制作の過程をうかがい知ることが出来ます。この画帖に描かれた二十四騎の図様は、それ以降に制作された二十四騎図に踏襲され、藩内に広く普及していきます。現在、私たちがよく知る二十四騎のイメージは、この時に形成されたといって差し支えないでしょう。 (髙山英朗)

右から 19 二十四臣之像、20 黒田二十四騎画帖紙形、21 黒田二十四騎画帖(いずれも吉田長利部分)
右から 19 二十四臣之像、20 黒田二十四騎画帖紙形、21 黒田二十四騎画帖(いずれも吉田長利部分)
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休館日

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9時30分〜17時30分
(入館は17時まで)
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休館日
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(月曜が祝休日にあたる場合は翌平日)
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