平成26年6月17日(火)~8月17日(日)
図1 黒田官兵衛孝高(如水) |
今年のNHK大河ドラマは、福岡藩の藩祖・黒田孝高(よしたか)(通称・官兵衛、法名・如水、1546生~1604没)を主人公とする「軍師官兵衛」です。福岡市では昨年からドラマ放映決定を契機として、黒田官兵衛を核とする本市のPRと観光振興のためさまざまな取り組みを行っています。官兵衛に関する歴史資料の大半を所蔵する当館におきましても、黒田家の名宝展をはじめ官兵衛ゆかりの遺品を随時紹介してまいりました。
このようななか、今春、2件20点におよぶ官兵衛の手紙を新たに収集しました。いずれも新出史料で、官兵衛が福岡入りした後の最晩年の手紙です。本展示では、官兵衛の新出の手紙をすべて公開するとともに、これまですでに収集していたものもあわせて紹介します。
まず、第一は、官兵衛の叔父井手友氏(ともうじ)(官兵衛の父職隆(もとたか)の弟)の子孫に伝来した黒田如水書状(図2)です。友氏(ともうじ)の息子で、官兵衛の従兄弟にあたる井手真斎(しんさい)(友正(ともまさ))と母里古庵(もりこあん)に宛てた慶長8年(1603)7月28日付けの手紙です。当時、官兵衛は京都に滞在中で、出先から国元に送ったものです。官兵衛は武人として才能を発揮しましたが、一方で文芸面にも造詣が深く、当代を代表する文化人の一人でもありました。この手紙は官兵衛の文芸的活動を示す内容です。官兵衛は親交のあった連歌師の里村昌叱(しょうしつ)が7月24日に死去したことを伝え、辞世の句を写して送り、太宰府天満宮の同好の士にも見せるよう依頼しました。官兵衛は当代連歌界を代表する里村紹巴(じょうは)・昌叱・昌琢(しょうたく)に師事し、福岡入りした後には天満宮の宰府連歌(さいふれんが)の興行にも努めました。
図2 黒田如水書状(史料1) |