弥生水田の四季展
令和6年4月2日(火)~6月30日(日)
ここはヤヨイ村。今からずっと昔、2000年くらい前に、九州北部にあった村です〈※〉。人々は地面に掘った穴に屋根をかけた小さな家に住み、川の近くでは、田んぼでお米をつくって暮らしています。田んぼでは、季節のうつり変わりをきちんと読み取り、種まきや田植え、収穫を行わなければなりません。1年を通しての農作業はかなりの大仕事です。
お米づくりは大変ですが、それだけではありません。節目ごとのお祭りでは、音楽を奏でて歌い踊り、ごちそうを食べ、お酒を飲むこともありました。ときに花や、旬の味覚も人々の心を和ませます。人々は、日々の生活の中で、春夏秋冬、季節ごとのささやかな楽しみを見い出したのです。
ヤヨイ村の人々は、1年をどのように過ごしていたのでしょうか。今日は特別に、ご案内したいと思います。
※ 今回の展示で設定した架空の村。国宝金印の製作年代が西暦57年のため、時期が近い。ただし、展示資料は、弥生時代の中の様々な時期のものが混じる。
春
風にのって、どこからかサクラの花びらが運ばれてきました(写真2)。春がやってきたのです。
村では、田植えの準備が進んでいるようです。田んぼに水を入れ、鍬(くわ)やスコップをつかって、土を砕き、足でよく踏んでやわらかくしていきます。ひび割れた畦(あぜ)は、水がもれないように泥をぬって修理します。最後に、畦で区切った中の土を平らにして、水の深さをそろえました。おっと、泥に足をとられて転びそうな人がいました。なんとか体勢を立てなおして、転ばずにすんだようです(写真3)。
動物の動きも活発になってきました。どろんこ遊びが大好きなイノシシは、少し離れたところから田んぼの様子をうかがっています。また、水鳥は田んぼに降り、食べ物はないかと探します。村の人々はそれをみて、今年もたくさんお米がとれるようにとお祈りしました。春にくる鳥が、豊かな実りをもたらす穀霊(こくれい)を運んできてくれると信じているのです(写真1)。
夏
田植えが終わり、夏がやってきました。田んぼの稲はすくすく育ち、枝分かれしてきました。
水を張った田んぼでは、魚が泳いでいます。フナやコイは、水の流れがゆるやかな田んぼで産まれ、育つのです。しかし、彼らの周りには、気を付けなければならないものがたくさんいます。例えば、夜になるとナマズが動き出し、他の魚やカエルを食べてしまいます。そして、忘れてはならないのが、村の人々です。手網や罠をつかい、魚を捕まえて食べるのです(写真4)。
夏になると実る、おいしい食べ物があります。例えば、メロンの仲間です(写真5)。田んぼの仕事の中で一番大変なのは、暑い夏におこなう草とりだと、村の人たちは言っています。ちゃんと草をとらないと、おいしいお米が実らないのです。みずみずしく甘い食べ物は、疲れた体を癒してくれます。